Wikipediaで調べてみると、「擬制(ぎせい)とは、ある特定の事実が認められる場合に本質的には性質の異なる他の法律効果と同一の法律効果を認めることである」とある。また別のサイトでは、「本来は異質のものを同一とみなす事、転じて便宜上のみせかけ」と解説している所もあった。
実は私が三週間前に右足を手術した件で、手術給付金を保険会社に請求しようとしたら「手足の怪我は対象外です!」と一刀両断に言われた。私の記憶だと契約時に「お怪我で手術された場合には給付金が出ます」と説明されたはずだ。このところ記憶力にはいささか自信がない私は、「そうでしたか」と返答しつつ、念のため保険証券を確認してみた。
手術給付金: 手術の種類により入院給付金額の10倍20倍40倍のいずれか。
と記載されている。やっぱり対象じゃないか!
翌日、そのことを担当者に告げると、
「手術の種類により給付されない場合があることは約款に書いてあります」
と言われた。今度は約款を調べてみると、確かに約款にはそのように記載されてはいるが、契約時に約款を読み合わせをしたわけでもなく、本件について何も注意された経緯がない。
契約書にはキチンと書かれているし、契約不履行ではないかと思い、WEBで調べてみると「保健は擬制契約だ」という事が書かれてあった。つまり「面倒な約款の読み合わせをしたと言うことにして契約を締結させたと見なす」と言うことだ。
保険業界では「見せかけで契約と見なす」ということを、法律が認めているという事だそうだ。確かに読めないほどの極小の文字で数十頁に密に書かれた約款を契約時に一言一句読む気にはならないし、これを割愛するのは一見合理的でもある。
しかし、「この擬制契約のシステムを逆手に利用した販売がなされているのではないだろうか?」そんな疑惑を私は抱いてしまった。何故なら、契約書には、「手術給付金が支払われない場合もあります」という一文が記載されていないからだ。契約書を見れば分かるように、こんな空白のスペースがあるにもかかわらず、この最も重要な一文を記載しないというのは、これが意図的になされているとしか思えないからだ。少なくとも、私のような問い合わせは毎年数え切れないほどあるはずなのに、どの保険会社も契約書の修正をしていないのではなかろうか。(未確認だが)
このように著しく契約者にとっては著しく不利なビジネスモデルであるにもかかわらず、この件について訴訟の事例は全くない。その理由はおそらく、本件における給付金額が少額であるため、大手保険会社とこの擬制保険を認可した国を相手に、一個人が訴訟を起こす気持ちになれないからであろう。
もし読者の中で保健に関わるお仕事をされている方がいらっしゃれば、この重要な一文を契約書に明記するように、会社の上層部にお伝えして欲しいものだ。
http://life.insurance-japan.com/info77.html